石川県能登半島のほぼ先端。世界農業遺産に認定された里山里海に囲まれて、奥能登すず体験宿泊施設「木ノ浦ビレッジ」があります。そこには四季折々の魅力があり、観光客が非日常を求めて訪れます。
今回は、木ノ浦ビレッジを運営するザアグラリアンテーブル合同会社の足袋抜(たびぬき)豪代表に、どんな仕事をしているか、どんな人材が欲しいのかなどをうかがいました。
―なぜこの施設の運営をしようと思ったのですか?
私はもともと農業をしていたんです。つまり、野菜を作っていて、栽培したものをお客さんに身近にわかってもらいたくて、畑でキャンプをするイベント等を開いていました。でも、どうしても天候に左右されるので、なるべく安定的に提供できる場所を見つけて、宿泊業に絡んだことができたらと思っていたところでした。それに、この近くでスキューバダイビングのポイントを開拓したことがあり、木ノ浦にいいイメージを持っていました。この施設自体は完成してから5年目で、以前は別会社が指定管理者として運営していたんですけれど、次の指定管理者を募集するという話があったので、その機会にエントリーして僕らが引き継いだ形なんです。
―体験プログラムにはどんなものがありますか?
これも別会社が運営していた頃からのもので、釜焼きピザづくりやコーヒー焙煎、椿油絞りなどがありますね。僕はスキューバダイビングのインストラクターの経験があるので、こういった屋内活動は物足りないのではと思っていました。でも、子どもから年配者や障がい者までお客さんの幅が広い中、体験しているお客さんの反応を見ると、この体験プログラムを用意した理由が分かりました。他にも、ノルディックウォーキングもできます。椿のトンネルをくぐったり、ダイナミックな景色を見たりすることができて、すごくいいポイントです。木ノ浦ビレッジは海にも森にも囲まれているので、夏はもちろん冬でも自然の力を感じることができます。
―ここでの仕事の内容について教えてください。
実際の仕事としては、フロント業務から、お客さんに提供する食事の調理、宿泊されるコテージの清掃、それにノルディックウォーキングのコースの整備や椿油を搾る種の採集までいろいろあります。でも、ここで働くにあたって、サービス業・宿泊業の経験があるかないかは問いません。僕の持つ知識はもちろん教えるし、いろいろな企画をイメージできる場所でもあるので、コツコツやればできることが増えていくと思います。
―接客業をする上で大切なのは、やはりコミュニケーションですか?
そうですね。コミュニケーションに加えて、お客さんが何を求めているかを想像することが大事ですね。ハッピーなのか、不安を感じているのか。もしお客さんが困っているように見えたら、声をかけてあげると、悶々とした気持ちも解けます。
また、お客さんにとってここに泊まることは非日常だけれども、毎日働くスタッフにとっては日常になるので、そのギャップや裏方の大変さがあることを分かっておいた方がいいです。入社するスタッフには「入社前の想像とは90%以上真逆の仕事だよ」と言っています。
―現在、課題として感じていることはありますか?
一年を通してみると、繁忙期である夏以外の時季にどうやってお客さんに来てもらうかが課題ですね。もともと冬は能登全体で客足が遠のく時季ではあるんですけれど、クリスマスやお正月といったイベントがあるので、それらに合わせたおもしろい企画を考えたり、食べ物がおいしい場所であることを活かして「食」に絡めたプランを計画したりして、お客さんに届けることが大事だと思います。
また、珠洲市は高齢化に悩む地域だから、なかなか働き手を見つけられないというのが今の状況です。なので、僕らがやらないといけないことは、次世代のスタッフや経営者を育てることですね。宿には宿ごとに色やコンセプトがあると思うんです。木ノ浦ビレッジの色はそのまま保ちつつ、僕ららしさをつくっていけるように、若い人の意見も聞いて運営ができる会社になったらいいなと感じます。
―ここで働く人が将来的に社長になれるかもしれないということですか?
そうですね。僕は、スタッフは経営者になりたいと思うべきと考えているんです。スタッフとしてではなく、実際に、スタッフ管理や決済などのマネジメントやハンドリングといった経営者に必要なことをできる人に、ぜひ木ノ浦ビレッジに入ってほしいし、残ってほしいです。
(以上、インタビュー)
自然を活かしたイベントを企画でき、人も優しく、働くには好条件の場所。ここでしか得ることのできない経験や雰囲気が必ずあります。接客業や宿泊業の経験がなくても全く問題なし!「働きたい」「マネジメントをしたい」そんな気持ちを実現させてみませんか?