アットホームな雰囲気で 唯一無二の焼酎をつくりませんか/日本醗酵化成株式会社

はたらく
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珠洲市にある「日本醗酵化成株式会社」は、石川県内で唯一の本格焼酎専門メーカーです。しかし、焼酎メーカーと聞いて、一般的に思い浮かぶのは温暖な九州地方のはず。今回は、焼酎づくりへのこだわりはもちろん、どんな人材を求めているのか、これからどんな会社を目指すのかなどについて、創業者の孫として会社を切り盛りする藤野 裕子さんに話をうかがいました。

日本醗酵化成株式会社の藤野 裕子さん。職務は企画や営業、総務もこなす。
創業者の藤野 公平さんから数えて三代目にあたる

―どのような事業をしているのですか?
麦を原料とする本格麦焼酎だけを先代の頃からずっとつくっています。昔は、焼酎といえば、臭くて飲みにくいイメージがありました。そんな中で先代は、米や芋などいろいろな原料がある中で、クセが少なくて飲みやすいといわれる麦焼酎を選びました。

原料はすべて国産の大麦。能登の気候の中でじっくり熟成させる本格麦焼酎

―麦だけでつくるのはこだわりですか?
そうですね。芋焼酎を作る際には、設備を新たに投資しなければいけないというのもありますが、飲みやすさや今までずっと作ってきたことを考えると、麦一本にこだわり、これからも地道に長くやっていくのがいいのかなと思います。芋焼酎は人気があるので、「芋でつくりませんか」という話もありますが、全部お断わりしています。

―なぜ珠洲の地で焼酎づくりを続けるのですか?
先代が珠洲で焼酎づくりを始めて、家業でもあるので。先代は、珠洲で美味しい焼酎を何とか作りたいという強いこだわりをもっていました。その想いを大事にしています。たしかに、産地にこだわらずに原料を仕入れれば、安く済みますが、うちでは良質の国産大麦を使っています。お金がかかることはいろいろありますが、石川県の人が「石川の焼酎といえばこれだ」と当たり前のように言うような地元に愛される焼酎メーカーになりたいと思います。

原料の麦を水や酵母と混ぜて発酵させる仕込蔵

―苦労することは何ですか?
売る難しさがありますね。県内唯一の焼酎メーカーということで、ライバルは少ないですが、石川県自体が寒くて「日本酒がおいしい」というイメージがあるので、そもそも観光客の方に選ばれにくい部分はありますね。県内の人でもまだまだ知らない方がたくさんいらっしゃるので、知名度を上げていくことの難しさを感じています。また、例えば東京などの売り場では、九州の焼酎のブランド価値が髙く、石川県の焼酎をあえて買おうという人は少ないので、どのように県外で販路を展開していったらよいかを常に悩んでいます。
製造に関しても、日本酒であれば造ってすぐに出荷するということもできますが、うちの場合、最低でも3年、長い場合は30年焼酎を熟成させており、その間はお金にもならないし、売れる保証もないので大変ではありますね。ただ、熟成すると味がまろやかになります。「寝かせるまで売るな」というのが、先代からのこだわりです。このように長期間熟成するのは大手のメーカーには難しいことだと思うので、こだわりを持ってやっていますが、維持していくのが難しい部分でもあります。

大きなタンクが並ぶ貯蔵庫。原酒をじっくりと自然のままに熟成させる

―その中でも、やりがいを感じるのはいつですか?
お客様の声を直に聞いたときがやっぱり一番嬉しいです。「あそこのお店で飲んで美味しかった」「泊まった宿でたまたま飲んでみて気に入った」などと言って、わざわざここに買いに来てくれたりするとそう感じます。お酒は嗜好品なので好き嫌いが分かれるとは思いますが、一人でも好きになっていただき、リピーターとしてお電話をいただいたりすると、やりがいを感じられますね。

―どんな人材が欲しいですか?
仕込みの工程は力仕事になるので、若い人で、特に男性が欲しいです。IターンやUターンで珠洲に来てくれたらうれしいですね。お酒づくりに強い興味がなくても、経験者でなくても構いません。現在のスタッフもこの会社に来て初めてお酒づくりに関わった人ばかりです。
お酒づくりをしていく中で発酵などに興味が出てくると、ちょっとした工夫や温度の差で毎回違う味わいになる楽しさを感じながら、勉強しながら働けると思います。最初は道具を覚えたり、作業に慣れたりしなければいけませんが、分からないことがあれば教えますよ。
会社的には、おばちゃんが多くて和やかな雰囲気で、休憩時間も多くてコミュニケーションもとれるので、珠洲らしいゆったりとした感じがありますね。
仕込み以外にも若い力が必要だと思うのは、新しい商品の企画やデザインを考える時です。これまでの固定観念にとらわれすぎない、新しいアイディアを求める時には若い人の発想が斬新でいいときもあります。
「さいはてジンジャー」というお酒もデザイナーの方にパッケージを一新してもらったもので、以前はかわいさを重視した見た目で販売していましたが、デザイナーの方の視点で手掛けてもらい、中身のお酒の味わいに合った珠洲のイメージにパッケージを変更すると、売り上げが伸びたので、びっくりしたとともに勉強にもなりました。だからそういう分野が得意な若い人の意見も取り入れていきたいですね。

―今後の会社の理想像はどんなものですか?
まずは、県内で商品や会社の名前をより多くの人に知ってもらって、たくさんの人から愛される焼酎メーカーになりたいです。そうなれば、お酒を飲む人が減って低迷するアルコール業界でも、必然的に長く存続していけるのかなと思います。
そして、若い人に会社に入ってもらいたいです。お酒づくりはハードルが高いと思われているかもしれませんが、若者が持つ体力や柔軟性、感覚は会社のプラスになるので、みんなで和気あいあいと働いていけたらいいなと思っています。

最近のヒット商品(焼酎ベースのリキュール)。パッケージデザインにもこだわる

(以上、インタビュー)


珠洲で麦焼酎をつくることは簡単ではないと思います。ですがその中で、先代の信念を受け継ぎ、この能登の風土に合わせながら製造を続けています。だからこそ、美味しい焼酎ができるのではないでしょうか。この地ならではの優しい人柄に触れ、和やかな雰囲気で仕事に取り組むことができる職場というのは魅力的。そのような会社であれば、たとえ、お酒づくりの経験がなくても楽しめるはず。
こだわりの焼酎メーカーで自分の力を生かしてみては?

珠洲おしごとライター 道端亮平(富山大学)
取材日:2019年9月3日
※能登キャンパス構想推進協議会「奥能登チャレンジインターンシップ」として実施

リンク
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