珠洲の未来をつくっていく世代が、いま考えていることや想いを共有し、自分たちはどう生きるか、これからの珠洲をどうしていくかを一緒に考える場という思いで開催しています。
オンラインで開催
オンライン(Zoom)で開催し、市内で暮らす方をはじめ、震災により市外で暮らしている方や珠洲市出身者など20名が参加しました。また、第1回目の「すず若者意見交換会」はこれで終了し、2回目は8月以降の予定となります。
今回も前回までと同様に、「幸せのたまご」を制作しました。
その後、新たな試みとして、4つのテーマから今一番自分が興味のあるものを選んでもらい、同じテーマに興味を持った人同士で意見交換を行いました。
ワーク1 幸せのたまごの制作
テーマについて思い浮かべたイメージや素直な気持ちをたまごに見立てて、紙に書き出すワークです。
※幸せのたまごとは
慶應義塾大学の井庭 崇教授の研究室で開発されたデザイン技法。詳しくはこちら。ワーク内容はVol.01の開催レポートを参考
幸せのたまご テーマ
1)自分や家族がどう過ごしたいか(これから半年)
2)これからの珠洲市のため何に取り組むか(もし自分が市長だったら)
こちらのテーマから1つ選び、幸せのたまごを制作しました。
ご紹介します。
「自分や家族がどう過ごしたいか」を選んだ人
- 自立する(自分の生活を安定させる、仕事と暮らしになれる)
- 全力仕事
- たまにしか会えない家族と楽しく過ごす
- 震災で逃げた愛犬を捕まえて安心できる場所で暮らす
- 自分が変わり続けられる場所(家、家族、遊べる余白、多様な人・動植物)
- あみだ湯がそれぞれの関係者にとって幸せな場所と状況が生まれていること
「これからの珠洲市のため何に取り組むか」を選んだ人
- 子育て、教育
- 人財育成(子どもたち)
- スポーツイベントをやる(子どものアスレチックをつくる)
- 20~40代が稼ぎやすいしくみづくり
- 有名企業が拠点をつくれるよう人と土地を整備する(例)淡路島のように
- 求人を増やす
- 一次産業への補助
- 海、船に関して安全・安心を確保する
- 大きなインフラに頼らない防災(オフグリッドなど)
- 黒瓦のまちなみ復活
- 祭りができるようにする
- 住民の納得感がある復興(意見が反映される実感、行政への気軽なコンタクト)
ワーク2 関心のあるテーマについて話す
4つのテーマから、いま話したいことを1つ選び、幸せのたまごの内容を共有しながら、同じテーマを選んだ人同士で意見交換を行いました。
テーマ
- 学校、教育、子育て環境
- なりわい、仕事、事業
- 住まい、インフラ
- その他(自分や家族のことを話したいなど)
グループごとの話し合いの様子を紹介します。
1.学校、教育、子育て環境
- 保育園児など今後の珠洲をつくる子どもたちが、珠洲をふるさとだと認識する前に離れてしまっていることが大きな問題。
- 自分は珠洲の自然環境や地域の人が好き。
- 子どもたちが戻ってきやすいよう教育環境を整える。例えば学校のグラウンドで元気に遊べること。学校の人数が増えることで選択肢が増えること。
- 学校が統合した方が人数も増える。地域に学校が無くても地域を知る活動や総合の学習などは地域でやればいいし、地域の人が参加できる。学校が例えば1つになったとしても、その授業だけ、正院の子は正院で、飯田の子は飯田で活動してもいい。地域の伝統を学ぶような科目があっても良い。
- 一つのテーマで議論すると、テーマに関係して複合的につながっていることが話しにくい。教育にも、祭りや文化の継承、防災などが背景でつながっている。
- 子育て世帯向けのアンケートはあった?無かった。
- 子どもが言っていた。金沢だと公園ではボール遊び禁止、浅野川では釣りしたら怒られそうな雰囲気で遊ぶ場所がない、珠洲は瓦礫がいっぱいでも、海があって釣りができるし、秘密基地つくっても怒られないし、遊ぶ場所がある。
- 学校統廃合により、教員の雇用問題もある。
- 教育委員会や学校だけでなく、住民も参加し、今後の珠洲の教育環境をどうするか考え、話す場が欲しい。
2.なりわい、仕事、事業
- まずは大きい企業が工場や拠点をつくれるように整備したい。そして求人を増やしたい。
- 道や港がせまく、道路のルートが1~2本しかなくて不便なのでインフラを整備する。
- 地域のつながりとなる、祭りや行事を開催したい。
- 進学で珠洲を出て、戻るとなると就職先が限られていて不安がある。でも、いつか外での知識を身に着けて戻りたい。
- 三崎地区にスーパーや飲食店があったらいいなあ。
- 漁業や農業も震災後、課題が多くある。人手も少ない。
- 自然を生かして都会に珠洲の食べ物がどんどん売れるといいなという反面、供給量が足りない(少ない)という面もある。
- 稼げる農業、漁業になるといいが、本気でやりたいという人がどれだけいるかが課題。
- 仕事を失った、お店をやりたくてもできる状況じゃない、など問題を抱えている。
- 珠洲で何かやりたいと思っている人は大勢いる。
- 同世代に農業をやってみたい人はけっこういるので、そういう人たちに農地を貸して荒廃地にならないような取り組みもあると、将来的に珠洲で何かやってみたいという思いも出てくるのでは。
3.住まい、インフラ
住まい
- 家族と安心して暮らせる場所や自分自身が変わり続けられる場所にしたい(多様な人や動植物、時間的な余白)。
- 小さな小屋を建てたい。その近辺にはインフラが無いのでオフグリッドな暮らしも考えたい。
- 黒瓦のまちなみを残したい。
- 東京で生活しているが、珠洲のことを思い出すと黒瓦と杉板の家が思い浮かぶ。そういうビジュアル的な印象や記憶がとても重要。そんな町並みが残っていれば、住んでいる人も、元々住んでいた人も復興を頑張れるんじゃないか。
- 黒瓦のまちなみを残したい、一方で珠洲ではもう黒瓦産業がない。黒瓦をアップデートして復活させるのはどうか?(軽量化、丈夫、経年劣化しにくいなど)他県でつくったものを持ってきてまでして景観を維持するのではなく、自分たちが変化し対応していく方が生き残っていくには必要だし、物語としてよい。
- 今まで使われていた黒瓦を再利用する。
- 地震があったが瓦屋根は無事だった。建物被害も瓦が問題ではなく施工の問題だと知った。
- 技術的には耐震補強などが可能でも、経済的にそういう施工ができない人もいる。
- 景観条例があると、その条件に合わせて作るよう押し付けられる感じもある。
- 集落ごとに景観をそろえるには合意形成がいるし結構難しいが、例えば住宅を建てる時に関わりしろがあると良いかもしれない。いろんな人を呼んで、自分たちで作っていくというか。古材なども利用して。
- 復興について話すとき、里山里海とか自然がキーワードとして出てくることが多い。例えば、奇抜な家が立ち並ぶと違和感が出る。周りの自然にあったものが良い。
- 珠洲の人に元々ある抽象的な美意識というか人間力や感性に頼った合意形成のかたちがある。ルールを作り縛るのではなく、それに頼った合意形成ができていけばすごいコミュニティになる。
- 歴史的背景や自然環境の変遷などでたどり着いた価値観が一定時間定着すると、その形だけが継承されてなぜそうなったかの本質が抜け落ちてしまうことがある。このタイミングで本質を見定められるとよい。
- 時代にあった変化がある程度あった方が、持続可能に近づくのでは。
インフラ
- 船乗りとしては、港や海のインフラ復旧をしたい。
- 海の交通手段や避難手段を確保したい。
- 行政が行政の責任でやるインフラ(スマートシティ的)と、集落で自己完結するインフラ(オフグリッド的)を合わせたインフラ整備をする。
4.その他(自分や家族のことを話したいなど)
- 東京に避難した。自分の生活基盤を整える(暮らしや仕事)。
- 自分の活動をちゃんとやる。
- 関西に暮らしているとメディアの関心が薄れていると感じており、個人的にSNSで珠洲の状況を伝えたい。
- 市外にいても珠洲と繋がりたい(和歌山県で珠洲の写真展を開催するなど)。
- 林業×写真による場所づくり。
- 自分ができることで、周りの人を手伝ったりとか、活動していきたい。
- あみだ湯がそれぞれの関係者にとって幸せな場所と状況が生まれるように。
- 先の生活のことやアウトラインを半年後、1年経ったあたりには見出したい。
- 衣食住の環境を整えることが大事。
- 人とのつながりが重要(コミュニケーションをうまく取る環境、場所)。
- 若い人たちが、もしくは県外の人たちが、珠洲に戻りたい、珠洲に行ってみたいっていう気持ちをいかに作るかっていうことがとても重要。
- 復興はマラソンみたいなものだからちゃんと休む、持続できるように。
- 子どもたちが安心できる場所づくりがしたい。
- 交流スペースを開いており、近所の仮設住宅や、避難所から来る人が結構いる。情報交換したり、「今何考えてるの」「家のことどうだった」などの話をするような場所になっている。
- 復興について学びながらコミュニケーションの場を整える。
次回開催についての意見
市民の声を復興にどう反映するのか?
- 珠洲の本当のローカルな人はこういう会に来ない(意識高い系しか来ない)。わざわざ来ない人の意見はどう拾うのか。
- 本来は市議会議員が市民の意見を拾うはずではないのか。
- 復興意見交換会で質問をぶつけても期待した回答が無かった。
- 区長や議員には言いにくいこともある
- この会の意見をどう反映するのか教えてほしい。
- 珠洲の底支えをしているローカルな人の声が反映されないのはよくない。
市民の声の反映の仕方
- 青年団やJC、消防団、ローターアクトなどで若い人の意見を集める。
- 意識高い系(こういう会に参加する、できる人)が身近な人の声を集め、背負い、発言する。
- 避難所運営していたリーダーにお願いする。 → 負担大、疲弊する、良くない。
- 外部の人(大学や企業などの第三者)が入り、地域で声を拾い集める。
*石巻市北上町の事例あり - カフェや交流スペースなど人が集まる場づくりをしている人を行政が評価し、周知する。
- 市民の声を拾い、市政に反映させるための場所を行政が戦略的に考え、つくる。
- 近所同士などの小さなコミュニティで話しかけられることが大事。
その他の意見(アンケート結果)
オンライン開催について
- オンライン開催の進め方を事前に決めておく(司会者がオンライン会議の段取りをきちんと行うべき)。
- 事前に討論テーマを教えてもらえると準備できた(資料や説明動画を事前配布するなど)。
- グループワークの際にどうしたらいい分からなかった(何をすればよいか教えてほしい)。
- ファシリテーターや議事録担当が必要。
会について
- もっと、若い世代(幼児~高校生)の未来がワクワクするような夢を語り、それが実現して形として残せる環境・場所を作れないか。
- 誰でも話せる優しい会と未来を見据えて話す会を分けると良い。
- 継続することに意味がある。
- 今日話す内容はどこで公開されるのか(HPに掲載するだけでなくSNS等で発信してほしい)。
- 公的にかかわる人をテーマに合わせてゲストに招き、話したい。
- 役所の担当課に入ってもらい議論する。
- NPOや大学など外部の人が聞き取り調査を行うのはどうか(ある程度土地勘のある県内大学)。
- 民間や研究機関(専門家)など外部に運営を委託するのもよい。
- 行政への要望や個人的な不満、意見が散見されたこと。もう少し個人個人の思いや状況の交換になれば。
- 参加者の年齢層がどの程度のものなのか全く認識できなかった。参加者数、年代を伝えて頂くことは難しいのか。
- 復興の足掛けになるような生産性のある話し合いを設けることが出来なかったように感じる。
今回、開催して感じたこと
はじめてオンラインで開催したが、予定通りに進めることが難しく、時間を大幅にオーバーしてしまい申し訳ありませんでした。一方でテーマごとに分かれての意見交換は予定した時間だと足りない印象でした。
「市の復興施策に反映するためにはどうすればよいのか。」「住民の意見を聞いてほしい。」などのご要望が多かったのでどうすればいいか考えていきたいです。一方で、住民全員の意見を聞くことはできないから、声をあげられる人が、身近な声を拾い集めて、発信することが必要という意見にはとても同意しました。
ファシリテーターや議事録をとる人、発信などが必要という意見も多く、引き続きお手伝いして下さる方を募集しています。
第1回目を終えて
3か所で開催し、合計50名ほどの方にご参加いただけたことを大変うれしく思います。
誠にありがとうございました。
自分たちはどう生きるのか、これからの珠洲をどうしていくのか
それぞれが抱える想いを共有し、意見を交換することで、みなさまの暮らしが少しでも良くなるよう今後も開催していきます。
次回は8月以降を予定しています。
またのご参加、お待ちしております。
主催:すず里山里海移住フロント
お問合せ:公式LINE