珠洲の未来をつくっていく世代が、いま考えていることや想いを共有し、自分たちはどう生きるか、これからの珠洲をどうしていくかを一緒に考える場という思いで開催しています。
テーマ「子ども・教育」にて開催
珠洲市では今後の学校のあり方(統廃合を含む)について関心が高まりつつあります。それらを議論するにあたり、まず基本となることは何かと考えました。なんのために地域に残すのか、なんのために統合するのか。その「なんのために」に値する部分が以下の問いであると考え、論点に選びました。また今回はNPO法人ガクソーと共催にて開催しました。
8月19日(月)企画会議
本テーマで若者意見交換会を開催するにあたっての企画会議を実施。前回参加者など教育に関心のある15名で話し合いました。
8月31日(土)珠洲開催
台風のため現地開催を見送りオンライン(Zoom)にて15名が参加。(うちオブザーバーとして一般社団法人こたえのない学校や珠洲に想いを寄せる方など4名参加)
9月1日(日)金沢開催
台風のため開催中止
9月3日(火)オンライン開催
オンライン(Zoom)にて18名が参加(うちオブザーバー3名、新聞記者1名)。
2つの問い
今回はグループワークを行わず参加者全員で2つの問いについて議論しました。
(※こどもとして/保護者として/身近なオトナとして/地域として)
- 「珠洲の学校教育で大切にしてほしいこと/したいことは?」
- 「こどもたちのために大切にしてほしいこと/したいことは?」
会での意見を一部ご紹介します。
子どもにとって大切にしたいこと
- 統合とか、大人数、少人数など正直どうでもいい。形より中身。環境が大事。人口や市の財政状況等の都合により変わっていく
- 子どもたちに寄り添える、先生が楽しく働ける、子どもたちの知性を伸ばす、尊重する環境。それも、いまではなく数十年後の知性を伸ばしてあげられる環境をつくりたい。
- 自分で切り開いていく力(人間力)が必要。先生に言われたから、みんながやっているからでなくて。「自分で考えて」となげかけていくことを大切にしている。
- 子どもに多くの選択肢を与えたいと思う一方で、限られた環境の中でどうするのか生きていく力を養うことも大切(例えば、冷蔵庫にあるものだけで料理をつくる感覚)。
- 珠洲で子育てしたいと今は思えない。いろんな物事や経験の機会が少ない。
- 変わった大人(一般的な仕事ではない生業をもつ)やモノに触れるチャンスがあるといい。面白い大人やロールモデルとなる人が少ない。⇒よりすぐりの変わった大人がいま珠洲に来ていて、そういう人に出会えるチャンス。
- 学校教育では、最低限の読み書き計算、社会性(コミュニケーションの力)など義務教育の質を上げる。
- 学校統合の良いところは①子どもが集団の中で多様な価値観に触れ協力し合い切磋琢磨することで能力を伸ばすこと、社会性を身に付けること②友人が増える③部活動の選択肢や集団学習が満足にできる。地域に残るいいところは自宅からの通学距離が近い。
- セーブザチルドレンのアンケートを参考にしよう!遊ぶ場所がなくなったとか、やりたいことが書いてある。
- 子どもたちが奪われてしまった公園や運動場の代わりになるものを探す、子どもと一緒につくる。
- 子どもたちが珠洲で過ごして、仲間と思い出をつくれる環境を大切にしたい。
- 子どもの想いに対して「できない」ではなく、できるようにするにはどうしたらいいか考えたい。
- 自分の意見や気持ちを安心して発信できる、表現できる環境がすごく大事だと感じる。自分と違う意見や環境に対して理解しようとする気持ちや姿勢を見せることが未来にとって大切。
- 子どもは親の影響を受けやすい。親がいまの珠洲をどう思っているのかが重要。珠洲を好きになるにはどうしたらいいか。自分たち大人が生き生きとして、人任せにせず、ちゃんとやることが1番なのでは。
地域と学校について
- 部活の選択肢がない⇒スポーツクラブがあってもいい。運動部・文化部の地域移行が進めば地域との交流が盛んになり、豊かな環境になるのでは。
- 学校が統合したら地域で育てられるような仕組みを、分散したままなら、例えば体育の授業だけは全校集まってやるなど、どちらのカタチになっても、課題に対して解決する方法を確実に取っていくことが大切。
- 学校がすでに統合されて無い地域、例えば狼煙地区などは地域として廃れているかというとそうではない。むしろ主体的に活動されていて元気な地域だという印象。そこに住む個人の影響もあるだろうけど。一方、直地区は人は多いけど、アクションは起こせていない。どの地域も潜在力はあって、アクションを起こすコト、人が大切。
- 都会は塾やクラブがあり選択肢はあるけど、珠洲にはない。珠洲でどうやって、学校教育と、地域と、家庭で役割分担してやるか。学校教育ではとにかく基礎学力を身に付けることが重要で、その他のことは地域でやろう!とか、学校教育に多くを求めすぎない。どうやって分担するかが重要。
- 教育移住とかを考えるならまち全体でつくっていかなければならない。前と同じことをやっていくのであれば、20~30年変わらないまま繰り返していく。
- どうやったら珠洲を好きになるか=郷土愛の醸成を学校や地域でどう行うか。<郷土愛の3つのポイント>①地域のことを良く知ること②知ったうえでそれをつくりあげた先人たちに感謝すること③その地域づくりに自らがちゃんと関わること
- 移住定住促進や人口減少に抗うために子どもたちに還ってきてほしいと思うのは、郷土愛の搾取につながると良くない。本人の幸せや自己実現のための郷土愛と考えたい。
- 特色のあるコミュニティスクールを伸ばしていく。
- 地域の人の顔が分かるとやっぱり安心感がある。
- 航空学園のように県外から子どもたちが夢のために進学している。珠洲の良さや魅力を活かして専門学校など設立できればいいな。
- 先生たちの現場の声がここに無い。でも声を上げにくいのかと思う。現場で考えたり、悩んだり試行錯誤していることがあると聞いている。また学校が分散していて先生一人の役割が多い。生徒指導とか教務主任とかで手一杯で勉強を教えたくてもそっちの業務に追われていたり、学校運営にガタがきている印象がある。
- 以前、先生方にどういう考えがあるか意見を求めたところ、管理職を通さなければ答えられないと言われたことがある。
学校の人数規模について
- 珠洲の良いところを残したい。子どもが震災後市外の学校(30人/クラス)に行ったが、やっぱり珠洲の学校がいいと言って戻ってきた。少人数の方が雰囲気が良かった。
- 一人ひとり保護者と面談をして通知表を渡すことはとても丁寧。都会だとそうならないのでは。
- 子どもたちが意見を言い合うときは大人数の方がよさそう(多様な価値観に触れる機会)。例えば日頃いろんなところにいる子どもたちがオンラインで交流し、必要に応じて1か所に集まるような体制をつくる。
- 同じ境遇で顔見知りが多い場所は多少不便でもずっと住み続けたい場所になる。一方で僻地に一人で暮らしていると除雪や草刈りなど維持管理コストがかかる。学校も分散しすぎると同級生がいなくてキャッチボールもできない。適度な集約化と分散化が実現してほしい。
- 義務教育学校に魅力がある(珠洲に義務教育学校が出来たと聞いてUターンした)。少人数の丁寧な指導など。
- 人数が1ケタ台は少ない。一人ひとりの役割が多い。先生の目が行き届きすぎて自主性が育ってなさそう。できることが限られるという課題はある。
- 学校統廃合について、すぐに統合をするのは現実的ではないが、現状を放置していい訳でもない。ハード面はすぐに対応できないものの、ソフト面での何かしらの工夫や対応が必要。
- 周りの子育て世代に聞いてみた。<珠洲を出るか迷うポイント>安全な遊び場がない。放課後両親が帰るまでの居場所がない。少人数すぎて良い環境ではない。一刻も早く学校統合してほしい。
その他(参加者アンケートの回答を含む)
- 本会のスピンオフのようなかたちで「教育」をテーマにした会を今後も継続して開催できればよい。
- 保育士の意見なども聞ければよいと思う。
- 楽しみながら具体的な動きが出てくると良い。
- いま珠洲で必要なのはファシリテーター
- 子どもに関してならPTAとかある程度団体を巻き込んでやる方がいいと思う。
- 会の感想としてたまごをつくるのは良かった。会の終了までに全体のたまごをつくり方向性などを打ち出せると良いなあ。それぞれの会のたまごが生まれて後で経過を振り返られる。
振り返り
意見交換会の最後に、おなじみ「しあわせのたまご」を活用し、心に残ったことを振り返りました。
現場の声(先生の声)が聞きたい
沢山の同世代の子どもとふれあいが大事!
いま困ってる子どもの声を拾って対応する!(先生の声も!)
おわりに
「子ども・教育」をテーマに、熱のこもった意見交換が行われる様子は、すごく価値がある尊い時間でした。一方で、先生方の現場の声を聴くことや、何よりも今まさに困っている・不安を抱えている保護者や子どもの声に耳を傾けて、対応していく必要があると強く感じました。次回以降は「住まい」や「仕事・なりわい」などをテーマに開催予定ですが、今後も「子ども・教育」をテーマにした会を有志で続けていきたいです。
情報共有(事例など)
セーブ・ザ・チルドレン
会でも話が出た子どもたちへのアンケートはコチラ。
2024 年能登半島地震子どもアンケート~震災から半年 いま伝えたい子どもたちの声~」
NPO法人日本冒険遊び場づくり協会
被災地で子どもが自由に遊ぶことができる場所が無くなっていると感じて、地域の会員団体との連携・協働による被災地の子どもたちが自由に遊べる「場づくり」を行なっている。
日本ユニセフ協会 ※どの活動も「市からの要請」が必要
学習・生活面
・学用品の補助、仮設住宅で自由に遊べない子どものため小学校敷地内に屋内施設の建設と再建(女川町オレンジハウス)
・気仙沼小学校の学童保育施設を、市の要請をうけ敷地内に再建
・宮城県名取市に、市の要請を受け「どんぐり子ども図書室」をオープン
・東京都社会福祉協議会保険部保育士会、青年海外協力隊(JOCA)の協力で、岩手県大槌町、山田町の保育園に短期or長期で保育士を派遣
心理面
・未就学児と保護者をはじめとする子どもたちと接する大人への支援(日本プレイセラピー協会。福島県臨床心理士会と協力)
・避難所や仮設住宅、保健センターなどに臨床心理士と保育士を派遣し、保護者には臨床心理士とのグループワーク、子どもたちには保育士との遊びを通して心のケアなどなど。
チャンス・フォー・チルドレン
提携している塾や習い事に使える学校外教育クーポンを東日本大震災で被災した子どもに提供。
若者意見交換会について
2種類の意見交換会を開催予定です。
- テーマ別意見交換会
今後の珠洲をどうしていくかテーマを設定し議論する会。 - テーマのない意見交換会
自分や家族のことなど身の回りのことについて話す会。
悩み、困りごと、つらかったことを話したり、自分ができることを相手に伝えて、助け合う機会にしてもいい。普段は心のウチに秘めているものを、少しソトに出せるような会。
※この団体でやりたい!地域でやりたい!などあれば教えて下さい。
本会での意見は共有・公開します。
- 市関係部署との共有(例)テーマが教育関係の場合は、市教育委員会・福祉課と共有
- 復興計画策定委員会で共有
- ホームページでの開催報告(一般公開)
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