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2026/02/18

珠洲市おためし滞在拠点デザインコンテスト2025 審査会レポート

2月中旬、冬の厳しさが伝わる雪が街に残るも、上昇する気温に春の到来が感じられる頃、審査員の方全員に珠洲市に集まっていただき、審査会を開催しました。

テーマ「はじまる・つながる・すずぐらし」のもと、珠洲市でのおためし滞在拠点をデザインいただく本コンテストは、2025年11月初めから約2ヶ月半の募集期間を経て、133作品の応募がありました。

年齢層は10代から60代以上までと幅広く、石川県や珠洲市はもちろん、沖縄から北海道まで、さらに海外からも作品が届き、多彩で情熱あふれる作品が多数集まりました。

作品審査は、珠洲市や能登半島の復興支援を手掛ける建築家の方々、珠洲市にて地域の活性に奔走している方々等に審査員に着任いただき、珠洲市おためし滞在拠点にふさわしい作品の選定にお力添えをいただきました。

審査員の皆さんは事前に応募作品のすべてに目を通されており、どのような議論がなされ受賞作品が決まるのか、緊張と期待が交錯する趣きで審査会が始まりました。

 

泉谷珠洲市長による開会挨拶

最初に、泉谷 満寿裕 珠洲市長より開会のご挨拶をいただきました。

「珠洲市は令和6年元旦におきた能登半島地震により極めて重大な被害が生じ、街並みや景色が大きく変わってしまった。しかし近頃、なりわいの再建に向けた動きも出ている。その動きを加速させるためには地域内だけでなく外からの人の力も必要。そのため今後珠洲市に継続的に関わったり、移住を希望して来訪する方々にとって滞在しやすい拠点を作っていけたらと考えている。このコンテストにて復興への希望が生まれることを祈っている。
本日の選考は良作がたくさん集まっており甲乙つけがたいが、しっかり審査を進めていきましょう」とお声がけいただきました。

審査条件

審査は以下の観点にて行われました。

  • 拠点をつくる場所や周辺環境の特徴を活かした提案であること
  • 珠洲市の風土や地域課題への理解・関心があること
  • 既存の枠にとらわれない自由な発想であること
  • 「はじまる」「つながる」を感じさせるアイデアであること

審査員

7名の方に審査を担当いただきました。審査員長には世界的建築家である、坂 茂氏に就任いただき、建築的完成度だけでなく、社会性や未来への提案力も重視した議論が行われました。

審査員長

  • 坂 茂氏 (坂茂建築設計 代表)

審査員

  • 小津 誠一氏(株式会社ENN 代表取締役)
  • 塚本 安優実氏(toge toge 共同代表)
  • 新出 忠司氏(新出建築事務所代表)
  • 伊藤 紗恵氏(合同会社CとH代表)
  • 泉谷 満寿裕氏(珠洲市長)
  • 上杉 勢太氏(YADOKARI株式会社 代表取締役)

選考過程

一次審査(事前)

集まった全作品から、審査員に推薦作品を複数選んでいただき、総数41作品が一次審査通過となりました。

その後一次審査通過者に、作品に込めた想いや特にアピールしたい点など、図面やテキストだけでは伝えきれない部分も含めて共有いただくためのプレゼン動画を提出いただきました。

審査員にプレゼン動画を含めて選考を深掘りしていただき、さらなる推薦作品を絞り込んでいただきました。

 

本審査

審査員が大きなテーブルを囲んで座り、本審査がスタートしました。
一人ずつ”推し”の作品の評価ポイントについて説明いただき、その後ディスカッションが行われました。

作品は個性が際立ち、着想豊かなものばかりでした。おためし滞在拠点のデザインおよび建設地や建設手法、地域とのつながりかたや地域資源の活かしかた、そして外地から訪れる滞在者の過ごしかたなどのアイデアは、審査員が語り合うなかでさらに発展し、作品の魅力がブラッシュアップされていくようでした

そんななか、里山、里海|内浦、里海|外浦、まちなかという4つのフィールドを舞台に、外から訪れる人たちが地域や地域住民と関わるための場の仕掛けや、そこで地域との関係が深まっていくプロセスが描かれているアイデアについて、特に熱い議論が交わされました。

建物をたてる工程をも地域の人と共にするプランが描かれた作品においては、暮らしを築く体験を共にして打ち解け合い、愛着を作っていくというアイデアに多くの共感が集まりました。

また、珠洲市の昔ながらのなりわいや文化を丁寧に空間に落とし込んだアイデアや、暮らしの多様性を受け入れる柔軟な設計が施されたアイデアがある作品にも、審査員の評価が集まりました。

さらに地場の銭湯の活用や廃業スナックの再生など、珠洲市のローカル文化への熱い思いが審査員の心にとまる作品もありました。作品同士が連携し、チームで取り組んでもらうよう提案できないかとの意見もあがりました。

このようにディスカッションを重ねていくにつれ、作品への評価が整理され、審査員皆さんの総意で受賞作品がまとまっていきました。

受賞作品の詳細については、受賞作品発表の記事(リンク)をご参照ください。

坂茂審査員長による閉会の挨拶

審査を終えて、審査員長の坂茂氏よりご挨拶いただきました。

「復興のためには人が戻ることが重要だ。このコンテストは、今後珠洲にやってくる人々が滞在し珠洲らしさを体験することができる、優れた作品が集まった。とてもよいコンペになったと思う。これで終わりではなく次につながっていくよう、我々も応援していきたい」とお話しいただきました。

 

 

最後に

全国から応募いただいたユニークでかつ愛情深い、素晴らしい作品にたくさん出会ったことから、ワクワクするちょっと未来の「すずぐらし」があちらこちらで芽吹き育っていく、そんな予感が、より確かなものに感じられました。

本コンテストは、単発のアイデア募集ではなく、「暮らしの実験」として地域と共に育てていく取り組みです。
珠洲という土地で、なつかしくて新しい“すずぐらし”が、ここから少しずつ、かたちになっていきます。