人と人が触れ合える場で 自分の「素」を出してみませんか/みさきデイサービスセンター

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普段仕事をしているとき、自分の力を発揮できていないような気がして、モヤモヤするような感覚に襲われたことはありませんか。

「利用者さんはすべて受け止めてくれます」

そう笑顔で話してくれたのは、「珠洲市社会福祉協議会・みさきデイサービスセンター」センター長の濱野 ひろみさんです。今回は濱野さんが介護の仕事を始めたきっかけから、高齢化が進む珠洲市についてまで、幅広くお話をうかがいました。

「珠洲市社会福祉協議会・みさきデイサービスセンター」センター長の濱野 ひろみさん

―介護の仕事をしたいと思ったきっかけは?
はじめからこの仕事をしたいと思っていたわけではないのですが、平成6年に「新ゴールドプラン」といってホームヘルパーを増やそうという政策が策定されて、ヘルパーの募集がたくさんあったんですね。その時にたまたま私の叔父が「ひろみの性格だと介護の仕事が合うんじゃないか」と言ってくれたのがきっかけですね。

―実際仕事をしてみてどうでしたか?
楽しかったですね。最初は一人暮らしの方のところへ出向いて話し相手をしたり、訪問入浴で寝たきりの方のところへ行ってお風呂に入れてあげたりという仕事をしていました。正直、ホームヘルパー時代は今ほど大変な仕事ではなかったです(笑)。でもおかげさまでケアマネージャーや介護福祉士、社会福祉士の資格も取ることができ、いろんな人と関わって様々な経験をさせてもらえてます。

―今までの仕事の中で一番自分の糧になっているという経験は?
ホームヘルパー時代の担当の中にお父さんのような方がいて、私のことを娘のように可愛がってくれました。今も多くの方にかわいがってもらえてますが、この仕事をしていると、私が良かれと思っても相手のためにならないこともあって。でも利用者さんは皆そんな自分でも受け入れてくれます。珠洲の人が優しかったり、私の運が良かっただけかもしれないんですけれど(笑)。本当にこれまでの経験すべてが糧になっていると思います。

―やりがいを感じるときは?
お風呂に入れてあげるときですね。利用者さんのご希望に添えるように介助しながら入っていただき、爪を切ったり耳掃除をしてあげたりと、とにかく利用者さんを見て綺麗にしてさしあげると「すっきりした」と本当に喜ばれます。お風呂が嫌という方もたまにいらっしゃるんですけど、私たちがお世話した後からはお風呂が楽しみになることがほとんどなので、お風呂の介助は一番やりがいがありますね。

くしで丁寧に髪をとかしてあげる

―利用者さんと接されるときは何を大切にしていますか?
年を取ると動きもゆっくりになられるし、なかには耳が遠くて声をかけても反応が薄い方もいらっしゃるので、ゆっくり大きな声で正面を向いて話をしたり、「あなたと話したい」という気持ちが伝わるようにしています。さらにいきなり話しかけるとびっくりされる方もいらっしゃるので、必ず横で肩をたたく、ジェスチャーをするなど準備段階を踏むようにしています。また、安心してもらえるようにコミュニケーションの最中は利用者さんに手を添えるようにしています。

一緒に新聞を読みコミュニケーションを図る

―どのような人がこの仕事に向いていますか?
サービス精神旺盛な方が向いていると思います。引っ込み思案の方もいらっしゃいますが、根っからの引っ込み思案ではなく自分のことを素に出せて解放できるものを本来皆さん持っていると思うんです。その素の自分をさらしながら、利用者さんと交流をするなかで信頼関係を築き、少しずつ自信を持つことで、大きな声でお話をすることができたり、ついには人前で歌を歌えるくらいまでになるんですよ。

―日本は少子高齢化が進み珠洲市も例外ではないと思いますが、高齢者がこのまま増えていくとき施設はどのような役割を果たすと思いますか?
利用者さんはだんだん減っていくと思います。実際減っていて、子どもさんも近くに住んでいない、親戚もおらず誰にもお世話されないという高齢者が増えています。そのなかで地域密着とまではいかないですけれど、私たちがその方の生活をすべて見てあげる、関わっていくことが大切になってくるのだと思います。

取材中、すてきな笑顔でお話をしてくれたおばあちゃん

―これからこの仕事を目指す若者に一言お願いします!!
田舎の子たちはお年寄りと関わる場面が沢山あるので、介護の仕事に入るのはすごく簡単だと思います。対して、核家族で育った子たちはあまりお年寄りと関わる経験がないので、少し敬遠しがちではないでしょうか。でも昔の人たちの考えや生活のことに興味があれば、この仕事がきっと楽しく感じます。また、介護の仕事は絶対損のない経験になります。人間と人間のふれあいですし、コミュニケーションをとるときに「素」になれるというか。同年代や上司と関わるときは自分を作ってしまいがちですが、高齢者の方と関わるときはすべてを受け止めてくれるので、自分を作らなくてもいいんです。利用者さんは皆さんウェルカムなので(笑)。

里山の緑に囲まれた、みさきデイサービスセンター

(以上、インタビュー)


この記事の読者の中には、「都会の喧騒に疲れた」という方や「自分を作ってばかりの人生に嫌気がさしている」という方もいらっしゃるかもしれません。そのモヤモヤを、人と人の触れ合いを通じて「素」の自分を伸ばしていける、このデイサービスセンターのような仕事の中で解放してみてはいかがでしょうか。新しい自分にチャレンジするなら今、このタイミングなのかもしれません。

珠洲おしごとライター 出口 もも(金沢星稜大学)
取材日:2019年8月20日
※能登キャンパス構想推進協議会「奥能登チャレンジインターンシップ」として実施

リンク
社会福祉法人 珠洲市社会福祉協議会 HP
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